釣った
静寂を引き裂くような女の悲鳴が、下流の方から聞こえた。
『ヒエェェェェ~~~~ッ』 『アレェェェェ~~~~ッ』
声だけでは若い娘か年増なのか判断できない。
★
隊長はタックルを放り出し、すぐさま下流へ走った。
・・・ 女の年なんかどうでもいい。助けなくちゃ ・・・
岸辺に女が一人、崩れるように倒れていた。
★
『おい、大丈夫か。しっかりしろ。何があったんだ』
『隊長~~、隊長~~』
『おぉぉ、みどりちゃんか。いったいどうしたんだ』
『デ、デ、デ、Dコンが・・・わたしのDコンが・・・』
指をさす水中に、みどりちゃんのDコンピンクバックがゆれていた。
丸太のロープにがっちり食い込んでいる。
『そうか、そうだったのか。よし、隊長に任せておけ』
『隊長~~ ス・テ・キ』
『こんなもの朝飯前だよ。ギャハハハハ・・・・・』
★
高級軍手をはずし、体を川へ乗り出す。
超冷たい水中へ手を突っ込み、Dコンを手繰り寄せる。
『隊長~~ 気を付けてね。落ちないでね。あなた一人の身体じゃ・・・』
バーブ付きのトレブルフックは、こーゆー時厄介だ。
冷たさにしびれる腕を我慢しながら、ロープを外しつづける。
『隊長~~ 大丈夫? 無理しないでね。あぁ私もう見てられない・・・』
ぐっさり食い込んだベリーのフックをようやく外し終えた。
『ほらみどりちゃん、取れたよ。もう大丈夫だよ』
『隊長~~ ありがとう。たのもしーわ。ス・テ・キ・・・』
★
隊長は身体を乗り出したまま、Dコンをみどりちゃんに差し出した。
みどりちゃんも手をのばした。
一瞬二人の手と手が触れ合った。
しかし、所詮結ばれない二人なのだ。
また川に静寂が訪れた。
その時、隊長の左肩から首筋に激痛が走った。
『うううぅぅぅ・・・ツ イテぇぇぇぇぇ・・・ッ』 隊長がうめいた。
『隊長~~ どうしたの?大丈夫?』
みどりちゃんが心配そうに覗き込む。
★
『だ、だ、大丈夫だよ・・・』
無理な姿勢だったので
首の筋が
釣った
★
(かなり誇張していますが実話です)
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